避雷設備

電気設備には、人、家畜、建築物、建築設備などを雷から保護するための避雷設備が含まれます。

避雷針

一般には避雷針と呼ばれていますが、これは避雷設備一式を総称した名称です。避雷針は建築物などを落雷から守るために屋上などに立てる、先のとがった金属棒のことです。導線で地面と接続し、地中へ放電させます。避雷針があれば雷が落ちない、ということはなく、むしろ雷がより多く誘導されると考えたほうが良いでしょう。建築基準法33条「高さ20mを越える建築物には、有効な避雷設備を設けなければならない」と記載されています。一定の建物では、避雷針の設置義務が課せられています。

始まり

落雷による被害は年間1000億円を超えるといわれています。尊い人命も、また、この例外ではありません。落雷と言えば、だれでも避雷針を思い起こしますが、これは「誘雷針」という名前がふさわしく、雷をそこに誘導するものです。これが発明された約260年前は未だオイルランプの時代で、電気が使われるようになったのはそれから130年も経った後の事です。

仕組み

設置義務のあるのは、20m以上の高さの建物です。義務の有無だけで、20m以下の建物には雷が落ちないという意味ではありません。どんな建物でも落ちる可能性はあります。避雷針は通常建物の一番高い屋上部 にもうけられます。そこに落ちた雷は一定方向に導かれます。この雷の電流を導く物を導体と呼びます。通常は電気を流しやすい胴線の束です。この線はコンクリートの建物ではコンクリートの中に埋め込みます。地上付近で取り出し、建物以外の部分の地中に埋め込み放電させます。これをアースといいます。

目的

避雷針は雷を避けるために設置する設備ではなく、雷撃を安全な通り道に誘導し、大地に逃がすことによって、雷撃による損傷を最小限に抑え、人や電気設備を保護する設備です。正に施工された避雷設備であれば、完全ではありませんが、建物に落雷があったとしても、建物内部や屋上に設置されている設備類は、安全に保護されることになります。

「直撃雷」とは

直撃雷とは、雷雲から直接対象の建造物に雷放電(落雷)することです。この時の放電電流は数十kA~数百kAと非常に大きく、時間的には数百μ秒~数m秒と短時間ですが、膨大なエネルギーを有しているため、落雷すると建物を破壊したり人を傷つけたりします。

「誘導雷サージ」とは

落雷電流は非常に大きいため、その電流通過の際、周囲の金属部分には各種の誘導結合(電磁気的、静電的、抵抗結合等)によりサージ(過渡的過電圧)が発生します。このサージを誘導雷サージといい、数kV~数十kVの電圧が発生します。このような過電圧は、数十μ秒~数百μ秒と非常に短い時間ですが、電気機器にとっては非常に過酷な電圧で、機器を損傷させたり、誤動作させたりします。

避雷設備設置基準(建築基準法)

避雷設備の設置は下記のように建築基準法施行令に定められています。また、20メートルを超える工作物に対しても建築基準法第88条1項に適用が定められています。

(設置)第129条の14

法第33条の規定による避雷設備は、建物の高さ20メートルをこえる部分を電撃から保護するように設けなければならない。

(構造)第129条の15

前条の避雷設備は、建設大臣が指定する日本工業規格に定める構造としなければならない。

(避雷設備)建築基準法第33条

高さ20メートルを超える建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りではない。

建築基準穂による避雷設備の設置の必要な建築物・工作物とは

  • 1. 高さ20メートルを超える建築物
  • 2. 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁等の工作物及び昇降機、ウォータシュート、飛行塔等の工作物で高さ20mを超える部分

ただし、20メートル以下の建物でも落雷しないという意味ではなくあくまでも、必ず設置しなければならない一つの基準であって、落雷は20メートル以下の部分にあっても当然落雷は生じるものです。従って、20メートル以下建築物や工作物あるいは一般の住宅であっても、避雷設備(避雷針)を設けるに越した事はありません。

避雷設備(避雷針)用語

避雷設備(避雷針)
受雷部、避雷導線及び接地極からなる避雷用設備で雷撃によって生じる火災、破揖又は人畜への傷害を防止することを目的とするものの総称。
受雷部
雷撃を受けとめるために使用する金属体。この中には、突針部、むね上げ導体、ケージの網目状導体のほか、直接雷撃を受けとめるために利用される手すり、フェンス、水槽など建築物に附属した金属体も含まれる。
突針
空中に突出させた受雷部。
突針部
突針、突針支持金物及びこれらの取付台の総称。
むね上げ導体
むね、パラペット又は屋根などの上に沿って設置した受雷部
独立避雷針
被保護物から離して地上に独立した突針を受雷部とする避雷設備。
独立架空地線
被保護物の上方にこれと適当な距離を置いて架線した導線を受雷部とし、かつ、被保護物から独立した避雷設備。
ケージ
避雷を目的として被保護物全体を包む連続的な網状導体(金属板を含む。)。
避雷導線
雷電流を流すために、受雷部と接地極とを接続する導線。
引下げ導線
避雷導線の一部で、被保護物の頂部から接地極までの間のほぼ鉛直な部分。
接地極
避雷導線と大地とを電気的に接続するために、地中に埋設した導体。
保護範囲
避雷設備の設置によって、雷の直撃の危険から保護される避雷設備の周辺の大地及び空間。
保護角
受雷部の上端から、その上端を通る鉛直線に対して保護範囲を見込む角度。
雷サージ
雷によって生じる非常に高い異常電圧のことです。電撃進行波として、送電線より変電所などへ侵入します。

雷とは何か

空の中に上昇気流が発生すると、雲の中の水分などが相互作用し、雲の上方にプラス、下方にマイナス電荷が分かれてたまっていきます。雲の発達に伴い、その電荷が互いに多くなり、電荷はそのままの状態では存在できなくなり、プラス電荷マイナス電荷が引き合い空中放電(ショート)がおこります。 これが雷です。この雲の中で発生するものが雲放電で、雲と地上の間に発生するものがいわゆる落雷です。 雷が発生するとき、一瞬にしてエネルギーの放出がおこるため、激しい光(稲妻)と音(雷鳴)を伴います。

雷の種類

熱雷
主に夏の雷に多く、太陽に強く熱せられて地表面付近の空気の温度が著しく上昇した場合に生じます。
界雷
温かい大気層の上方に冷たい空気(寒冷前線)が侵入した場合に生じます。前線雷とも言います。
熱界雷
熱雷と界雷の両方の原因が重なって起こるものです。
うず雷(低気圧性雷)
発達した低気圧や台風の上昇気流によって生ずる雷です。低気圧雷とも呼ばれています。